~抜歯しない歯並び矯正
「私、寝るのがこわいんです。だって、急に39℃になるんですもの…」
こんな相談で歯科の当院に来院して下さった患者さんがいました。
詳しく話を伺いました。
患者さんは当時、36歳の女性。歯並び矯正を3年程前に行い、それ以来、就寝中に急に38℃以上の熱発を繰り返していたそうです。
そして最近では食欲も減退して、いつも体がけだるいとのことでした。また、来院時36℃弱と、低体温で35℃台という時期もあったようです。
当然、歯並び矯正の担当医の先生にも相談なさったそうですが、解決にはいたらなかったようです。
その後、さまざまな病院の可能性のある科を軒並みに受診なさったそうですが、原因不明で、完治には至りませんでした。
また、大阪で有名な整体師さんのところも受診なさったそうですが、これも思わしい結果は得られませんでした。
患者さんとしては、どうも最後の選択として、原点にかえって、歯科である当院を受診していただいたようです。
受診時の患者さんの歯列(黄)を右に、ちょうど来院と同じころに印象採取した私の歯列(白)を左に並べて撮影したのが下の2枚です。
【左:院長/右:患者様】
ご覧になれば一目瞭然で男女の違いはあるでしょうが、36歳の女性の歯並びとしてはあまりに小さく、まるで子供の歯並びのように感じます。
これはこの女性の歯並び矯正が上・下・左・右の犬歯の1本後ろの歯を合計4本抜いて並べ替えたために起こりました。
よく観察すると、女性のあちこちの歯に年齢の割には目立った歯のすり減りがあります。
これは強い歯ぎしりが日常化していることをうかがわせます。こういうケースでは大抵の場合、左・右どちらかで食事時の片嚼みがあります。
そこで患者さんの顔の観察と、夜の寝相の様子から、歯ぎしりの原因が横寝であることを突き止めました。
そこで、
①「食べ方」を検討し、その場で変更し、15分程、改めたその「食べ方」に基づいて口を動かしてもらいました。
②口元を閉じて食事すること、その間、鼻で呼吸するよう指導しました。
③寝相をその日から改めてもらいました。
わずか15分で、患者さんの顔色は驚くほど血色が良くなり、「今までこんなに深く息できたことはありません!!」と感激の一言をいただき、こちらこそ恐縮いたしました。
私は歯科医以外にサプリメントアドバイザーを業としていますから、その体験上、この時点でのサプリメント投与は健康のさらなる向上を強く押し進めることを幾度も経験していました。
そこでミトコンドリアの共鳴現象により導かれたサプリを2週間分お勧めしました。そして2週間後の来院を約束して別れました。
ところが彼女が来院したのは1週間後で「どうしたの?」と尋ねると「先生、ご飯が美味しくて、どんどん食べてしまうんです。大丈夫でしょうか。」と心配になって来院してくれたのでした。
でも彼女の心配をよそに、顔色はさらに良くなり、肌は透明感を増し、ピンク色となっていました。
私は笑って、「今まで食べられなくて心配だったのに、今度は食が進みすぎて心配ですね。でも大丈夫。私の教えた食べ方で、よく嚼んで食べれば問題なく健康になりますよ」
半年後、紆余曲折はありましたが、体温は36.7℃まで回復し、熱発、食欲不振とも完治して元気に退院してくれました。
歯並びの良し悪しは別として、すべての人は仮に、歯並びの悪いところがあってもどこかでしっかり食べるポイントが存在します。
歯を抜く矯正法では歯並び自体は見かけ上、良くなりますが、食べるためのポイントが患者さん自身に分かりづらくなる傾向があるように思えて仕方ありません。
これは繊細な神経の方ほどその傾向があるようです。
当院の歯並び矯正はなるべく親知らずも抜かずに行いますから食べるポイントがずれたり、失われたりすることはありません。そのかわり歯並びの美しさは、歯を抜く方法より少し劣ります。
「顔と口の一体的消化システム」が哺乳動物であるヒトの「口」の「第一消化器」としての位置づけですから、私自身は歯並び矯正の本質は
見かけの「美」ではなく、
消化器としての「機能」
と考えています。
食べるポイントを取り戻した先程の患者さんのように透明感のあるみずみずしいピンク色の肌に象徴されるような見かけではなく、内面から光り輝く「美」を
追及するのが当院の歯並び矯正とご理解ください。